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迷わぬ心を持つ者だけが生き残る。狂気のダーツゲーム『エンバンメイズ』【漫画レビュー】

今回は常軌を逸したダーツの世界『エンバンメイズ』です。

ダーツは得点が付いた的に小さな矢を当てていくだけのシンプルなゲーム。
矢が的の中央に刺さるかズレるかで一喜一憂している私たちの世界とは別に
『狙った場所に必ず当てる』
常軌を逸したプレイヤーたちが住まう世界があります。
その境地の住人の1人・烏丸 徨(からすま こう)。
『迷路の悪魔』という異名を持つ彼の狂気のダーツ試合が披露されていきます。

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無法地帯の中での厳正な規則体制

膨大な金額が動くアンダーグラウンドなダーツ試合。
その胴元を務めるのが、講談組若頭の絹守 一馬(きぬもり かずま)。
常に微笑みを絶やさず、素人にもダーツのルールやゲーム状況を簡潔に解説してくれる物腰柔らかな紳士。
一方で規則違反者には自らの手で容赦のない制裁を下す強者です。
そんな彼等の監視下で、無法地帯の中でも試合は厳正に執り行われます。

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対戦相手が皆『ヤバい奴』

人の心を失ったからなのか、はたまた極めたからなのか、並外れた技能を持った対戦相手たちは気が触れたような人物ばかり。
『冷血』の異名を持つ神谷もまた、日々の冷酷な行いが発端で徨との賭け試合を組まされた訳ですが、果てしない延長試合になることを見越した神谷は規則の隙を突き、何の躊躇いもなく徨の右手を潰し、早期に決着を付けようとします。

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気付いた時には既に脱出不可能

特別なゲームルールによる絶望的な戦況の中、徨は強敵を相手にどのような『迷路』を構築していくのか。
読み進めていけば、彼が『迷路の悪魔』と呼ばれる理由が徐々にわかってきます。
対戦相手だけでなく、見る者全てを迷路に引きずり込むかのような恐ろしさが見えてきます。

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悪魔でも勧善懲悪

相手を迷路に陥れることを得意とする徨ですが、実は、普段は極度の方向音痴で道に迷いまくっているという、皮肉でお茶目な一面も持っています。
そして狂気の試合中であろうとも、心清き者のことはしっかりと導く、カリスマ性溢れるダークヒーローです。
常人の世界ではとても味わえない、クレイジーなダーツの世界が広がっています。

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